試乗記4 MAZDA 3
ドアの内張りもソフトパッドが多く、ウィンドウスイッチ周りはピアノブラックになっていますし、ドアハンドルやスピーカーの形にもこだわりを感じるデザインとなっているので、ドア周りの質感も非常に高く、所有満足度が高そうです。ダッシュボードの奥からドアまで線が繋がっており、乗員を包み込むようなデザインになっています。
センターコンソールも機能ごとにまとめてボタンが配置されていて扱いやすいです。シフトの質感はあまり高くはありませんが、シフト操作をしたときの節度感は良かったです。写真左下にはお気に入りの機能を割り当てるボタンがあります。個人的には「自宅に帰る」か「目的地設定」を割り当てるのが良いのではないかと思いました。その上には音量調節用のダイヤルがついています。ブレーキホールドと電動パーキングブレーキもついているのはありがたいですね。アイドリングストップオフボタンはステアリングの横にあるのですが、エンジン始動をするたびに押さないといけなかったのは個人的な不満点です。シフト右には走行モードスイッチがついており、スポーツモードに変えることが出来ます。
前席のシートはマニュアルスライド、マニュアルリクライニング、ラチェット型のシートリフターがついているので自由度が高いです。ステアリングのテレスコ・チルトもかなり広い範囲で行えるため、適切なドライビングポジションが取れます。長時間運転しましたが座り心地も良かったです。
総じて前席の内装は全く文句の付け所がない素晴らしい出来栄えでした!
続いて後席についてです。外装デザイン優先なので仕方ない部分にはなるのですが、後席はドアが低くて乗り降りするときに頭が当たります。内装が黒なのに加えて窓も小さいので後席は暗めです。後席の座面は少し短くて高さも低めなので、もも裏を支えてくれる感じは少ないです。ただ背もたれは十分高いと思います。真ん中にはドリンクホルダー付きのアームレストが付いているのは良いですね。
最後に音響についても触れておこうと思います。オプションのBOSEがついていないクルマでしたので音質は一般的な国産車という感じでした。スピーカーの数が少なくて前から音が聞こえてくる感じがしましたが、値段を考えたら十分だと言えます。
ドライブフィーリング<Drivinig Impression>
このクルマはエンジン音がとても良いです。吹け上がりがいいし、音に伸びがあってアクセルをいつも以上に踏みたくなります。高回転数に行くとかなり大きな音が出て、同乗者をビックリさせてしまうかもしれないですが、スポーツカー顔負けの素晴らしいサウンドでした。一人で峠を走るのなら回転数を上げて走りたくなること間違いなしです!
ハンドリングは重くないけど緩みもなく正確でワインディングを気持ちよく走れます。高速での安定性も高くて高速の運転も楽ちんです。運転は定期的にはするものの、あまりクルマに興味がない友人にも運転してもらったのですが、運転していても疲れにくいと言っていました。
ブレーキはストロークが短めで、踏み始めたときの効きが唐突な気がするのと奥まで踏んだときの制動力が気になりますが、慣れれば比較的使いやすいブレーキです。アクセルはオルガン式でした。アクセル、ブレーキ共に使いやすいクルマだと思います。
15Sではタイヤは16インチと小径タイヤですが、足は結構硬くて路面の段差を思いきり拾ってしまいます。高速にある減速帯の上を走るとドコドコという大きな音と共に体全体に振動がしっかりと伝わってきますので、街乗り想定の一般車にしては乗り心地は相当硬い部類だと思います。ただ、振動の一体感から車体の剛性の高さを感じましたし、コーナリングの良さがこの硬めの足から来ていると思うと、クルマ好きの私としてはこの乗り心地は納得できました。しかし、あまりクルマに興味のない同乗者からは乗り心地が硬いという感想をもらいましたので、購入を検討される方はぜひ一度試乗をしていただき、乗り心地を確かめて頂けたらと思います。
ロードノイズはそこそこ入るが値段を考えたら十分だと思いますし、風切り音はさほど気になりませんでした。
スポーツモードに入れるとなかなかシフトアップせず、思いのほか高い回転数で走りました。エンジン音が普通の乗用車のスポーツモードにしてはかなりうるさく、クルマ好きではない同乗者を乗せるときは使用を控えたほうが良いかもしれません。運転している人からすると楽しいが、山道を登るときはエンジン音が大きすぎて疲れました。このクルマは自然吸気(NA)エンジンを搭載しているので回転の上昇がスムーズで音もきれいで素晴らしかったですが、山道を登るときはエンジン音ほどの加速感がなくトルク不足を感じました。
これだけ走りがいいのでパドルシフトがあると尚良かったですが、全体的に非常に満足感が高い走行性能でした。
使い勝手<Convenience>
ナビ操作はジョイスティックみたいなもので行います。スティックを回したり、押したり、倒したりすることで操作します。概ね直感的に操作出来るますが、目的地の設定が分かりにくく、事前の説明なしでは難しいです。スティックの側面のシルバーのリングを下におすと目的地設定の項目が画面に出てくるのですが、ボタンに絵や文字による説明が載っていないので初見ではかなり苦労します。個人的にはスティック手前のホームボタンから目的地設定が出来るようにした方が分かりやすくて良いのになと思いました。また、ナビのルート選択で有料道路を通るルートを選んだ場合、お金はいくらかかるのか、一般道優先ルートよりも何分早くつくのかが分かると便利だと思いました。
デジタルキーについて。デザインはかっこいいのですが、持ってしまうとキーの軽さや表面のツルっとしたプラスチック感を感じてしまうので安っぽく思えてしまいます。またドアノブを触っても施錠解錠ができないのが不満です。いちいち鍵を出してボタンで開けないといけないのは面倒くさいですよね。それなのに施錠解錠ボタンが鍵のサイドについているため小さくて押しにくいのは問題です。デザイン優先なのかもしれないのですが、利便性も大事な要素だと思います。スマートキーを採用しているクルマも増えてきているので早めの改善を期待したいですね。
トランクはもちろん手動で開閉します。価格帯を考えても手動で十分ですし、何よりクルマが大きくないので電動トランクにしなくても十分扱いやすいです。トノカバーが付いていますし、4:6の分割可倒になっているのも良いですが、トランク側からは倒せないのでリアシートに回り込む必要があります。リアシートを倒すとフルフラットになるのは良いです。ただ、トランクの口が高い位置にあり荷物を持ち上げて入れないといけないことを不満に感じる方が多いかもしれません。
運転中の見切り性能は良好でした。サイドミラーも大きいですし、リアウィンドウの大きさの割にはバックミラーから見える景色も意外と広くて後ろのクルマの様子がよく分かりました。
ヘッドアップディスプレイが装備されており速度とナビの道案内が表示されます。情報量は少ない部類ですが見やすくて便利です。クルーズコントロールの設定速度も出ます。
運転支援はレーンキープアシストは無く、レーダークルーズコントロール(車速維持+必要ならば前の車を認識して減速)のみがついていました。助手席の人に聞くと、レーダークルーズコントロールは私の運転の区別がつかないほど自然な速度調整なようです。また、運転手からすると「今クルマが前の車を認識して減速した」とか、「今前の車がいなくなったから加速しようとしているな」というのが伝わるくらいのはっきりとした制御をしてくれるので、クルマが交通状況を理解していることがよく伝わり、安心してクルーズコントロールに任せることが出来ました。1km/hごとに速度指定が出来ますし、クルーズコントロールの始動方法も簡単で、とても使いやすくて実用的な運転支援だと思います。
総評<Conclusion>
車体の剛性が高くステアリングの感度も良くて非常にキビキビと走れるし、エンジン音も気持ち良いのでクルマ好きが楽しく運転できる一台です。クルマ好きでない方でも素直で安定したハンドリングにより運転していても疲れないクルマに仕上がっていると思います。また、内外装のデザイン、質感ともにお値段以上になっていますので、コンパクトで上質なクルマをお求めの方に是非お勧めしたいクルマです!(乗り心地がもう少しマイルドだったら言うことなし!?)
ちなみに私はこのクルマをタイムズカーシェアでお借りしました。MAZDA3を扱っている駐車場も多くありますのでタイムズカーシェアの公式サイトでお近くの取り扱い駐車場を見つけて試乗してみてください。きっとあなたもこのクルマが気に入るはずです!
最後までご覧いただきありがとうございました。また次回の記事をお楽しみに!